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カメラマン勘太郎の復活①

| by 飛びっちょ勘太郎 2013年7月18日

勤めに出て2年半程経った頃、その頃私は都内某印刷会社の寮にいたが、先輩を差し置いて、すでにその寮のボスの座に納まっていた。ふと、出世した自分の姿を田舎のお袋に見せてあげたい衝動に駆られた。考えてみれば、高校を卒業し、学生時代を含めた6年間の写真と言えば、クラブの合宿風景以外は皆無であった。

学生時代の写真と言えばこの類いのものしかない

学生時代の写真と言えばこの類いのものしかない

東京でのこの「栄光の日々?」は、ぜひとも記録に残しておきたい。小学生の頃見た、高崎山のボス猿の写真が脳裏を過った。「カメラを買おう」生まれて初めてそう思った。ボーナスを待ちきれず、貯蓄を一部取り崩し、師走の雑踏の中、その頃よくTVのCMで見て知っていた「ヨドバシカメラ」へ行った。その頃の自分の趣味と言えば「読書と貯蓄と親孝行」であったため、給料は安くとも貯金は沢山あった。しかし、10年以上カメラから遠ざかっていたし、何せ自分でカメラを買うのも初めてなので、大いに不安であった。丁度その年の4月に、福岡の九州産業大学写真学科を卒業して入寮してきた新人がいたので、これ幸いと、ボスの地位を大いに利用して、強制的にそいつをヨドバシに連れて行った。「ピント合わせ不要で、自動巻き上げ、予算4万円以内」。これがその新人に課した条件であった。当時発売されたばかりの、キヤノンの「オートボーイ」なる製品が人気だったらしく、そいつはよく吟味もしないで、いきなりそれを薦めた。しかし今になってよく考えてみると、確かにオートボーイは、自分が出した条件「ピント合わせ不要で、自動巻き上げ、予算4万円以内」にぴったりで、彼は実にいい仕事をしていたのであった。が、なぜかオートボーイは気に入らなかった。「定価4万円越え」と、「当時結構人気=みんな持っている」の2点に加え、おそらく無骨なデザインが気に入らなかったのではないかと思うのだが、本当のところよく覚えていない。

残念ながら購入に至らなかったキヤノン オートボーイ

残念ながら購入に至らなかったキヤノン オートボーイ

あれこれ談合していると、見かねた店員さんがリコーの製品を薦めてくれた。小学生の頃の愛機「リコーオートハーフS」により、「技術のリコー」として私の胸に深く刻まれた、あの「リコー」の商品であった。見せられた瞬間から、すでにカメラには後光が差していた。(つづく)

ヨドバシの店員さんが差出したリコーのカメラには燃えるような後光が差していた

ヨドバシの店員さんが差出したリコーのカメラには燃えるような後光が差していた